戦場にて



引き絞られたトリガー

弾き出される鉛弾


青空の下 大地の上

草原

陽だまりの中

穏やかに眠る男たち

間近で轟く砲声さえも

彼らを目覚めさせることは


ない……。






故郷の両親の為に

大切なあの人の為に

愛しい我が子の為に

信ずる神の為に

そして、生まれ育った国の為に


何も僕らと変わらない

小さな幸せを守りたかっただけ


それでも


僕は トリガーに指をかける






このくれなゐに染まった両の手を

血に塗れた悪魔の如き姿を


どうか





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