序章 《0》
+始まりの時より+







あなたは、この世界がどうやって創られたかを知っている?
いえ、この銀河、次元――すべての始まりを。


知らない? ふふ、そうでしょうね。
例えあなたがどれだけの力を得て、どれだけの知識を得たとしても
……それを知るのは不可能だもの。


私? 私は、……あなたとは違うから。
今は『人のカタチ』をとっているけど、本来は違うモノ。
本当なら私を見る事も感じる事も、知る事さえも出来ないの。
今、あなたに『私』がわかるのはそういう風に私が調節しているからに過ぎないわ。


何故って顔をしているわね。簡単なことよ。
ここまでやってきたあなたの勇気に免じて、少しだけ話そうかと思ったの。
――いえ、『何か』を話してみたかったのね、きっと。









ねえ、私達だって全能じゃないのよ?
間違うことも、戸惑うことも、……託してみたくなる時だってあるの。
あなたたちとは感じることもすべてが違うけれど、それでも同じところだってあるのだもの。



私達にとって、あなたの時間や存在は取るに足らないものよ。
あなたたちの『永遠』は、私達の『一瞬』だもの。


でも、同じ時を『感じて』行くことは可能だわ。
だから、『彼女たち』に『希望』を託したくなったのでしょうね――。









そうね。ここまで来たご褒美に、一つ話をしましょうか。
『変わってしまった』次元の1つでの、小さな出来事を。
あの時を生きた、彼女達の事を。


今のあなたに時間はあるかしら?
あなたにとっては随分と長い話になると思うけど。
それでも……いい?









じゃあ、話しましょうか。
あなたのいた世界とは違う場所――違う時空で。
あなたにとっての過去であり、未来での出来事を。


つまらないかもしれないわ……あなたにとっては。
でも、あのときの『彼女たち』は今のあなたのように、悩みや苦しみ……
……絶望を知りながらも自分達だけで『道』を探し、創り出したわ。
そして、見事『この私』の所にまで来たのよ。


さあ、何から話しましょうか。
『すべて』を語ることは不可能だけれど、『一部』を知る事はできるのだから――。










え? 私が『神』ですって? 違うわよ。
それに他人の面倒を見れるほど、暇を持て余してはいないもの。


あなたたちの言う『神』が存在するのかどうか、『私』は知らない。
もしかしたらいるのかもしれないけれど、私ではないわ。


え? じゃあ、私は何かって?
そうね……さしずめ、私たちのことはこう呼ぶといいわ。














――ゲームマスター、と――

















次に進む→
←『蒼の聖戦』トップへ
Copyright(C) 2001- KASIMU all rights reserved.